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センスメイキング理論とは?ストーリーによって人は動き、そこから未来は創られる

2016年10月号のハーバードビジネスレビューに面白いコラムが載っていたので、ここで少し考えてみたい。

まずは、本文内でも振られていたエピソードを読んで頂きたい。

ハンガリー軍の偵察部隊がアルプスの雪山で、猛吹雪に見舞われ遭難した。彼らは吹雪の中でなす術なく、死の恐怖におののいていた。その時偶然にも、隊員の1人がポケットから地図を見つけた。彼らは地図を見て落ち着きを取り戻し、「これで帰れる」と下山を決意する。彼らはテントを離れ、吹雪の中、地図を手におおまかの方向を見極めながら進み、そしてついに無事に雪山を降りることに成功した。しかし、戻ってきた偵察隊員が握りしめていた地図はアルプスの地図ではなく、ピレネーの地図だったのである。

(DIAMON ハーバード・ビジネス・レビュー2016年10月号 P.126より引用)

そもそも、センスメイキング理論とは何か?誤解を恐れずに、簡単な言葉で表現をすると下記のようになるだろう。

センスメイキング理論とは、周囲のメンバーにストーリーを語り意味を納得(センスメイキング)させ、明確な答えのない環境下においてもチームを動かし、当初は見えていなかったような結果につながる、という考え方である。

これは僕の考えが入った解釈なので正しくはないかもしれないが、大枠の意味はズレていないはず。

この考えは、特に今のような変化の激しい世の中において重要だ。リーダーとして意思決定する人であるなら日々感じていることだろう。

答えのない中どのようにチームを導くべきなのか?

「100%これをやれば勝てる」という戦略を描けていることは稀だろう。
なぜなら、事業環境は日々変化するし、競合もバカでないし、自社が圧倒的優位性を築いていることも少ないからだ。新規事業や新規のドメインで戦う場合にはなおさらである。


そのような中、大事になってくるのが「センスメイキング理論」だ。

冒頭のハンガリー軍の例でもあるように、答えのない中でも、チームメンバーを説得させるだけの「何か」があり、それをもとに、チームの意思が統一され動きはじめれば、あとはそのアクションから得られるフィードバックを元に、学びを得て、ゴールを目指すことができるのだ。

ハンガリー軍の場合には、極端な例ではあるが、全く間違った地図(情報)を元にしていたが、「地図に従って進めば下山できる」という説得性のあるストーリーがチームを動かした。ここでも分かるように、何よりチーム全員が納得した状態で動くことに価値がある。

さらに言えば、センスメイキングの行き着き先には、スタート地点では見えていなかった果実があることもある。ヘンリー・ミンツバーグ氏は、自身の論文の中で以下のように述べている。

優れた陶芸家は、最初は何をつくりたいのか自分でもわからず、まずは泥をこね、ろくろを回し、次第に自分でつくりたいものがわかってくる

新規事業の計画も同じで、まず初めはともかく行動し、やがて次第に大まかな方向性が見えてきて、さらに形になっていく

これは、マイケル・ポーターのSCP戦略の対局にある考え。

どちらが正しいというものではないが、今の時代のような変化の激しい環境下においては、SCP戦略をとろうとしても不完全な情報しか集まらず、結局機能しないということも多いだろう。そのような中では、センスメイキング理論の考えに則り、チームメンバーにストーリーを唱え、まずはアクションを動かし、そこから学びを得て成功に導く、そんな戦略のほうが適しているのでは、と思う。


リーダーとしては、
いかにストーリーを語るか
いかに人を惹きつけるか


そんなことがより重要性を増すといえよう。AI化が進む世の中ではるが、ストーリーを語るといったソフトな面はいつまでも残り続ける。

以上、「センスメイキング理論」についてまとめてみた。ストーリーを語れるリーダーになるべく、邁進していきたい。



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