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複数のスプレッドシートを同期連携させるなら importrange 関数が便利すぎる

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昨今、Excel ではなく Google Spreadsheet(スプレッドシート)をメインに使うことも増えてきているように感じます。

Google Spreadsheet は、シンプルにオンラインで自動保存されて共有も簡単というメリットが分かりやすいですが、その他にも Excel ではできない便利な機能がたくさんあるのです。

今回は、そのうちの1つ、importrange 関数を紹介します。

よくある課題

次のようなケースに当てはまった方は、 importrange 関数で問題が解決します。

  • あるスプレッドシートのデータを別のスプレッドシートに同期させたい
  • 特定のメンバーに編集不可の権限でデータを共有したい

上記2点は独立した課題というよりは、2点目の課題の解が1点目だったりもするわけですが、いずれにせよ、上記の課題にぶち当たっている方が対象です。

例えば、マスターデータをいじられると困るが最新のデータを共有することで認識のズレをなくしたいといった時などが当てはまるかなという感じです。外部の方への公開やインターン生への公開なんかでけっこうあるんじゃないかなと思います。

importrange 関数でできること

さて、ここで importrange 関数の出番です。これリアルに最初使った時感動します笑。

簡単にいうと、指定したスプレッドシート内の指定したシートの指定したセル範囲のデータ内容を別のスプレッドシート内のシートに同期できるというものです。

ちょっと言葉だとわかりにくいので、実際に構文を見てみましょう。

構文

IMPORTRANGE(スプレッドシートキー, 範囲の文字列)

  • スプレッドシートキー :データの読み込み元となるスプレッドシートの URL を指定
  • 範囲の文字列:読み込む範囲を指定する文字列で、"[シート名!]範囲" の形式で指定
    • 例: "シート1!A2:B6", "A2:B6"

IMPORTRANGE("https://docs.google.com/spreadsheets/d/abcd123abcd123", "シート1!A1:C10")

これにより、上記URLのスプレッドシート内のシート1のA1〜C10のセルの内容を、この式を入力したスプレッドシートへ同期することができます。

別のスプレッドシート内の、A1 セルに記入をすれば、同内容が完璧ですね。

注意点

importrange 関数は、データのみを同期するものです。そのため、その他の書式や色等の情報は同期されません。同期元のスプレッドシートで色を付けても、同期先では色が付かないということです。

これに関しては、条件付き書式で対応するようにすると良いかと思います。基本的に、全て条件によって変更されていく仕組みにすると生産性も上がって良いですね。

最後に

Google Spreadsheet は Excel 以上に使い込めるツールです。便利な関数はどんどん使っていきたいところですね。自分も知らないものかなりありそうなので、ちょこちょこインプットしていければと思います。

ホリエモン流、お金とは何か?「これからを稼ごう:仮想通貨と未来のお金の話」

ホリエモンこと堀江貴文さんの新著がなかなか面白かったので、メモがてら簡単に内容に触れていきます。 f:id:show_motto:20180729164735p:plain

これからを稼ごう: 仮想通貨と未来のお金の話

これからを稼ごう: 仮想通貨と未来のお金の話

堀江さんの本は同じ内容を再編集しているだけだという人もいるようですが、その意見については、そもそも時代に併せて再編集することは価値があることだし、さらに本書は今までの書籍とは大きく異なる内容になっているという2つの断りを先にしておきます。

昨年、メタップスの佐藤航陽さんの『お金2.0』が20万部超えの大ヒットを記録しましたが、本書はホリエモン版『お金2.0』とも呼ぶべき良書でした。

お金とは何か?

仮想通貨という存在は、これまでお金というものを絶対視して、お金に縛られていた多くの一般の人たちに、"気づき"もしくは"気づきの芽"みたいなものを、もたらす可能性があると思う。

それは、お金というものの本質についてだ。

お金というのは、人の共同幻想の産物なのだ。

お金の本質について、堀江さんは以前から上記のような発言をされていましたが、たしかに仮想通貨によってその考え方がより多くの方にも理解できるようになったといえるでしょう。

今の日本円にしても、既に金との互換性はなくなっており、日本銀行が保証しているだけ。「日本銀行が保証しているから大丈夫」という共同幻想ともいえます。日本銀行よりも、世界中の色々な人が支持しており、プロトコルが明示されているビットコインのほうが信頼できそうという意見もそう見当違いには聞こえないでしょう。

日本円がすぐになくなることや価値が小さくなることはないでしょうが、それと米ドルを並列で見るように、暗号通貨を同じ土俵で考えていけるような柔らかいアタマはそう遠くない将来必要になっていくのではないでしょうか。

ハードフォークと金融政策

こうした各陣営の思惑までも(本心まではわからないが)明らかにされている点は、密室で政策金利などが決まっていく従来の金融政策よりも、健全に見えてしまうのだ。

これはたしかにそうだなと思った一文です。

文脈を紹介すると、ビットコインは、スケーラビリティ問題をどう解決していくかという議論の中で、「1ブロックあたりの容量を大きくしようという派閥」と「ブロックに入れる要素を省略しようという派閥」に分かれ、その両陣営で多くの議論がなされた後に、前者はビットコインキャッシュとしてハードフォーク(分岐し)、後者が今のビットコインとして残る形になりました。

そのような両陣営の議論がオープンになされている様と、政策金利を密室で決めていく従来の金融政策との比較をしているわけです。

たしかに、日本も民主主義で投票によって選ばれた国会議員が関与しているにせよ、透明性という観点では大きな違いがあるでしょう。ここについては、どちらがよいというわけではなく、好みの問題かもしれません。僕は透明性のある議論の中で方針が決まっていくものののほうが信頼できるなって思います。

まとめ

「お金」を再考する時が来ています。

日本円を信じるもよし、ビットコインを信じるもよし、そこも01の議論ではなく、自らの資産を分散させるのもよし。さらには、お金というものにせずとも、自らが資産としていつでもお金に変換できるものを持っていればよしともいえるでしょう。

堀江さんは10年、20年先を見ている方なので、未来について考える上でとても示唆に富んでいる本でした。お金について改めて考えて見たい方、仮想通貨について知りたいかたに、おすすめです。

これからを稼ごう: 仮想通貨と未来のお金の話

これからを稼ごう: 仮想通貨と未来のお金の話

「tanking price」の意味は?対義語は?

今 CryptoAssets という本を読んでいるのだが、その中で "Tanking Price" という単語が出てきて引っかかったのでメモ。

Cryptoassets: The Innovative Investor's Guide to Bitcoin and Beyond

Cryptoassets: The Innovative Investor's Guide to Bitcoin and Beyond

文中の使われ方はこんな感じ。

For, example, monero had a spike in volatility in late 2016 because it experienced a significant price rise. This shows that volatility is not only associated with a tanking price but also a skyrocketing price.

調べてみると、"tank" という単語には、自動詞で「(特に金銭的に)大失敗する」といった意味があるとのこと。

US informal no object | Fail completely, especially at great financial cost.

tank | Definition of tank in English by Oxford Dictionaries

というわけで、「tanking price」を日本語訳するとなると「大暴落」という感じでしょう。

最初の文章については、ボラティリティというのものは、大暴落だけでなく大暴騰(急騰)とも関係があるんですよといった意味合いでした。

対義語としては、文中で使われているように、skyrocketing price という言い方や、steep price, breakthrough, spike といった言い方もあります。skyrocketing は響きの通り特に程度の大きな高騰の時なんかに使えるとカッコイイですね。

戦略とは何か?なぜ必要なのか? - なぜ「戦略」で差がつくのか。

最近ブログの更新が滞っていたので、読書メモ的な形で軽めの記事でも更新していこうかなと思い、久しぶりにブログのエディタを開きました。

今回読んだのは、元P&Gでそこから日産自動車や資生堂と外資系企業から日系企業までを「マーケティング」一筋で渡り歩いてきた音部大輔さんの「戦略思考」についての本。

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世の中、色々な戦略がある中で、本書の特徴を箇条書きにしてみると、下記のような感じです。

  • 戦略的とは何かという根本からわかりやすく書いてくれている
  • 戦略立案のベースとなる「目的」と「資源」について分解しわかりやすく説明
  • 戦略系の本にありがちな硬派な感じはなく、文字も大きめで読みやすく入門書としてよさそう

全体を通して、戦略の根本にこれでもかというほど分かりやすく迫った入門書といえるかなと思います。

音部さんは、

戦略とは、「目的」達成のための「資源」利用の指針、である

と定義し、次に、良い目的とはなんだろうか?(SMART等)、資源とはなんだろうか?と展開し、そこから戦略の効用について触れ、満を持して、戦略の組み立て方に入っていきます。

戦略の効用についてのパートの目次だけ抜粋すると、そうそれそれという項目が出てきてこれだけでも学びになります。

  1. 成功確率が上がる
  2. 目的のよりよい達成が可能になる
  3. いい失敗で経験値を獲得しやすくなる
  4. 再現性の確保
  5. 有意識の力
  6. パニックを防ぐ - 一貫性を担保する
  7. 自損事故を防ぐ
  8. 意思決定を助ける
  9. 目的を共有する
  10. 摩擦を下げる
  11. 権限委譲を助ける

この項目よくわからんぞとか、内容気になるな、という方はぜひ本を手にとってみてください。

サッと読めて実践につながる良書でした。戦略立案する立場にある人にはおすすめです。

戦略系でいうと個人的バイブルはなんといっても「良い戦略、悪い戦略」。こちらもセットで読むと面白いと思います。

良い戦略、悪い戦略

良い戦略、悪い戦略

なぜ「ライブクイズ」が乱立しているのか?米国「HQ Trivia」の事例から考えてみた

昨日、ついに LINE も「ライブクイズ」への参入を発表しました。2018年に入り、Gunosy や 17 Live など、大手の参入が相次いでいるこの領域。

jp.techcrunch.com

正直、日本ではまだまだ流行っているとはいえませんが、なぜこうも色々なサービスが手を出してきているのでしょうか?

というのを昨日チームで飲みながら話していて気になったので、ちょっと考えをまとめてみました。

なかなか面白かったので、続き見てみてください。

そもそも「ライブクイズ」とは?

ライブクイズとは、簡単にいうと、「スマートフォンでリアルタイムにクイズへ回答していき全問正解で賞金を獲得できる形式のライブ動画」です。

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こちらのキャプチャが分かりやすいかなと思います。

MCがクイズを出し、3〜4つの選択肢から時間内(10秒が多い)に回答していく形式です。そして、全問正解すると、その回の全問正解者で賞金を山分けされるような仕組みです。

「毎日12時と20時」のように、どこのアプリも毎日決まった時間に開催しており、ユーザーの頭に植え付けようとしている意図が伺えます。

で、日本ではまだできてたばかりですが、アメリカでは大盛り上がりしているので、そちらの事例を見てみましょう。

米国成功事例「HQ Trivia」は何がすごいのか?

HQ Trivia は米国最大の「ライブクイズ」サービスです。先程のキャプチャもこちらのサービスより取りました。

どんな感じなのが雰囲気を知りたい人は下記の動画をみてみてください。

www.youtube.com

ビジネス的な話でいうと、HQ Trivia の運営元は2018年3月に1500万ドル(15.9億円ほど)の投資を受け、時価総額は100億円も超えてきていると言われています。

techcrunch.com

売上はほぼ上がっていない中ですが、1回のライブクイズで200万人を動員するなど、驚異的なアクティブユーザー数を誇ることから、このような評価がでてきていると言えるでしょう。

HQ Trivia と国内のライブクイズのどちらも見ていて気づいた点として、2点上げておきます。

MC の Scott Rogowski が上手すぎる

動画を見てみると一目瞭然なのですが、MC の Scott Rogowski の進行がめちゃくちゃ上手いです。人々を興奮させるような物の言い方はさすがコメディアンだなという感じです。

さらに、アプリのアニメーションもかなりのクオリティとなっており、このあたりは国内のサービスもこれから追随していくところなのかなと思いました。

HQ Trivia で全問正解することがちょっとした名誉になっている

これは実際どこまでかは分からないのですが、ネットで見ていると感じでいると、HQ Trivia で全問正解すること(=Winner)になることが Honor であるというような文化がユーザー間でできてきているのかなと感じました。

このツイートとか見ていても感じますね。

ユーザーがクイズに対して熱狂している様子が伺えます。ある記事によると、オフィスで人溜まりができていると思ったらみんなで HQ Trivia をやっていたといった話もあり、みんなで熱狂するエンターテイメントになっているわけですね。これは強い。

「ライブクイズ」って儲かるの?

HQ Trivia にここまでの時価総額が付くのなぜなのか?ということで、マネタイズの観点でも考えてみました。

マネタイズ手法としては、サービスとの整合性から考えるに、「スポンサードクイズ」の方向性になるかなと思います。簡単にいうと、クイズ自体が広告となっているものです。

たとえば、こんな感じでしょうか。

Q:2018年3月に公開され、大ヒット中の Pixar の新作映画のタイトルは?

- A1:リメンバー・ミー
- A2:リメンバー・ユー
- A3:フォーゲット・ミー

このスポンサードクイズのすごいところは、ユーザーが回答するという能動的なアクションをとるため、参加ユーザーのうちのほぼ全てのユーザーの認知を獲得できるという点です。

これは、動画広告でいうと視聴完了レベルかそれ以上の効果はあるとして、視聴完了の単価が10円ほどだとしてみると、200万人のユーザーが参加している場合には「200万人×10円=2,000万円」の広告価値があるといえるでしょう。

これはもちろん単純計算なのですが、規模感としてはこのくらいのイメージなのかなと。

そうなってくると、日本のライブクイズサービスでも、ユーザー数が増えてきて数十万人規模になってきた段階で、1回あたり100万円ほどは少なくとも広告効果として担保できる形になってきそうです。

さらに、動画の視聴完了よりもスポンサードクイズのほうが寄与率が高いという数字結果も出れば、それだけ金額も上げていけそうです。これは賞金を考えても大きく伸ばせそうな予感がしてきますね。

マネタイズ以外でのいいところは?

マネタイズという視点以外でも、既存サービスとの相性がよければ相乗効果を狙うこともできそうです。

たとえば、グノシーさんはうまいのですが、クイズの中にニュースを見ていると分かる時事ネタを入れることによって、クイズ目的で入ってきた人にも、ニュースアプリとしての良さを体験してもらおうとしていたりします。

また、17 Live であれば、ライブ動画の配信者である「ライバー」と呼ばれる人たちが、ライブクイズの放送もしているので、ライブクイズをきっかけにライブ配信のほうに興味を持ってくれるユーザーもいることでしょう。そこでファンとなってくれれば、17 Live 側としては嬉しいわけです。

ちなみに、2018年11月9日をもって、17 Live のライブクイズ「17Q」は一旦休止になりました。その判断の根拠が気になるところですが、継続的な運用にもなかなか工数がかかるところなので、一旦休止して次の方針を考えるというのは懸命かと思いました。

まとめ

ということで、ここ数ヶ月で一気に「ライブクイズ」のサービスが出てきていたので、ちょこっと考察してみました。

最近感じるのは、日本の上場企業でも動き出しがめちゃくちゃ早くなっているということ。HQ Trivia の動きももっと早めにキャッチしておかねばなと反省でした。海外の流行りは定期的に頭に入れていこうと思います。

【入門】文系マンに捧ぐ!機械学習の基本の「き」を学ぶための地道な3ステップ

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人工知能、AI、機械学習といったワードがバズワードかのように飛び交う昨今ですが、文系マンからすると、正直さっぱりですよね(汗)

僕自身、1年程前までは、さっぱりな状態でした。そして、今もめちゃくちゃ詳しいわけではありません。ただ、色々と勉強する中で、「さっぱり分からない」→「ちょっと分かる」にはなれた気がします。

そんな「ちょっと分かる」状態でこのような記事を書くのは中々おこがましくもあるのですが、それでも書くことにしたのは、文系マンにとって「ちょっと分かる」の価値は、ちょっとどころか大いにあると思っているからです。

今後、様々な業種業界でAIや機械学習が当たり前のように使われるようになっていく中で、データサイエンティストとビジネスサイドの橋渡しとなる人材のニーズは高まっていくはずです(この記事ではそのような人材を「トランスレーター」と呼んでいます)。そうなった時に、「ちょっと分かる」と大いに役立つのでは、という話です。

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というわけで、本記事では、機械学習が「ちょっと分かる」レベルの筆者が、文系マン向けに、人工知能・機械学習分野をどう勉強していったら効率がよいのか、自らの経験を元に書いていくことにします。

まずは前提から

このような勉強法の記事を書くと、まず問われるのが「あなたのバッググラウンドは?」という疑問。

事前にお答えしておくと、

  • 某国立大学の経済学部卒業
  • 数学は文系にしてはできた方
  • プログラミング経験は学生の頃にちょろっと
  • 今はアドテクの事業をやっている人

という感じです。

アドテクという業界は、まさに機械学習の最前線でして、膨大な広告配信データやユーザーの行動データを元に機械学習によって様々な予測やリコメンドが行われています。

そのような環境の中で、プロダクトを見る立場の自分は、最低限の知識は持っている必要がある、というモチベーションで勉強をし始めました。

【ステップ1】全体像・何ができるかを知る

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「機械学習について勉強しよう!」となった時に、まず知るべきはその全体像です。これはどの分野についても言えることですが、敵を知れば道筋が立てられるもの。

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機械学習とよく混合される言葉として、人工知能(AI)やディープラーニングというワードがありますが、それらの関係性はざっくりこのような感じ。

人口知能の定義はかなり広いです。たとえば、簡単な例でいうと、エアコンで「部屋の気温が30℃以上になったら冷房をかける」というシンプルな If 文も人工知能の範疇です。一方で、画像から特徴を自ら認識・検出し何が映っているのかを言い当てる、といった高度なことも人工知能に入ったりします。

詳しくはこの記事が分かりやすいので、気になる方は読んでみてください。

leapmind.io

おすすめの書籍

実際どんなことができるのか?どのようなことが既に起きているのか?を知る上では、書籍でよくまとまっているものがあるので、そちらを読んでみるとよいでしょう。個人的におすすめな本を紹介していきます。

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)

人工知能本のバイブルとも言える本。迷っているなら一旦読んでおきましょう。著者の松尾先生は業界内では知らない人はいないという存在。ちなみに、松尾先生の研究室「松尾研」からは、Gunosy や PKSHA Technology 等、急成長を遂げている企業も多数輩出されています。有無を言わさず、まずは読んでおくやつです。

戦略的データサイエンス入門 ―ビジネスに活かすコンセプトとテクニック

戦略的データサイエンス入門 ―ビジネスに活かすコンセプトとテクニック

  • 作者: Foster Provost,Tom Fawcett,竹田正和(監訳),古畠敦,瀬戸山雅人,大木嘉人,藤野賢祐,宗定洋平,西谷雅史,砂子一徳,市川正和,佐藤正士
  • 出版社/メーカー: オライリージャパン
  • 発売日: 2014/07/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログ (6件) を見る

ビジネス活用事例で学ぶ データサイエンス入門

ビジネス活用事例で学ぶ データサイエンス入門

「人工知能をビジネスにどう活かすのか」という視点では、これらの本が参考になります。

これらの本では、データサイエンス(=人工知能や機械学習などを用いてデータから何らかの結論を導出すること)によって、実際ビジネスの現場でどのようなことができるのかについて学ぶことができます。

二冊目については、「R」というデータ分析や統計に強いプログラミング言語が登場します。コード部分については、一旦飛ばし読みで内容だけ把握するような読み方でいいかなと思います。

データ分析の力 因果関係に迫る思考法 (光文社新書)

データ分析の力 因果関係に迫る思考法 (光文社新書)

さらに、ビジネス的な視点でいうと、こちらの本も勉強になります。

「データを見てどう判断するのか」にフォーカスした本です。因果推論とよばれる分野なのですが、因果を考慮せずに判断してしまい適切な意思決定ができないというケースは、そこら中に転がっているものです。一度この本を読むことによって、データから判断する際の着眼点や、そもそも検証する上でどのような環境を用意すべきなのか等が分かるようになります。

機械学習も結局はどうデータと付き合うかが根本で大事なはずなので、このような本でデータとの向き合い方について学んだおくことは大事かなと思います。

おすすめのスライド

スライドでいうと、PFN海野さんのスライドがとても勉強になります。一例として、こちらを見てみてください。

こちら以外にも勉強になるスライドをいくつも上げてくださっているので、時間があれば見てみるとよいでしょう。

【ステップ2】Pythonを学ぶ

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次のステップにいくために、ある程度コードを読める&書けるようになっておく必要があります。昨今の機械学習界隈では、ライブラリも豊富な Python(パイソン) が使われることが多いので、Python を身につけていくことを考えましょう。

「え、プログラミングとか無理ゲー…。」

という方も多いかもしれません。

しかし、今は良い時代です。厚い本を読まなくても、ウェブ上で簡単に楽しく学べるサービスが出てきています。ここでは代表的な日本のサービスを2つ紹介します。

Aidemy(アイデミー)

Aidemy は、AIプログラミングに特化したオンライン学習サービスです。「AIプログラミング特化型」ということで、Python についても、基本的な文法から関数やクラスまで、基礎的なところを解説してくれています。

その後の機械学習周りを学んでいく上で必要な部分に絞っているため、短時間でコースを終えることができます。プログラミング学習というと様々なルールがありどこまでやればよいのか分からず挫折してしまうという人もいるかもしれませんが、Aidemy では必要な部分のみに絞ってくれているため、テンポよく進めることができるでしょう。

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ちなみに、画面はこのような感じです。

2018年3月までは全コース無料ですが、4月以降については有料化されるとのことなので、今のうちにいっぱい学んでおきましょう。

aidemy.net

Progate(プロゲート)

続きまして、Progate です。こちらは、AIに限らず、プログラミング全般のオンライン学習サイトです。

プログラミング言語のうちの1つとして、Python のコースがあります。ちなみに、Python は、データ分析周りでの利用の他に、Django というウェブサービスを作る上で便利なフレームワークがあるなどウェブサービスの実装等にも利用することができます。

Progate のコースでは、Aidemy よりボリュームが多く、AIプログラミング以外での利用も想定されて作られていることが分かります。Aidemy をやってみて、もっと Python について知りたいという人は見てみるとよいかもしれません。

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画面はこんな感じです。Aidemy よりも UI/UX は優れている印象です。アプリもリリースされていたので、ちょっとしたスキマ時間や通勤時間に学習するといったこともできそうですね。

prog-8.com

Aidemy と Progate どっちからやる?

最近、Aidemy 代表の石川さんがこのようなツイートをされていました。たしかに、文系マンに最初から Aidemy は難しいかもしれません。やってみて難しそうな場合には、一旦 Progate で修行をするという手順にしてみるとよいでしょう。

【ステップ3】実際にコードを書いてみる

機械学習の全体像とそのビジネスインパクトを知り、Python の基礎を学んだところで、ようやく機械学習に関するコードを書いていきましょう。

「文系マンでそこまで必要なのか?」という疑問はたしかにあります。

ここは自論になるのですが、ウェブサービスやアプリを作る時も同様で、簡単にでもいいから一度自分でやったという経験は、思考を展開する上で重要であると思っています。これは自分の経験から思うことです。

少しでも経験したことがあれば、建設的な議論もできるようになりますし、その分野を本当にマスターしている人に対して心底リスペクトするようになります。これらはチームとしてうまく機能させるために、大事なんじゃないかなと思ったりします。

どんなコードを書くの?

機械学習には様々な学習モデルがありますが、それに呼応する形でライブラリも用意されています。どのように学習が行われるかを確認する上では、一度ライブラリなしで実装してみると非常に勉強になりますが、正直文系マンにとっては too much な感じもします。

そこで、オススメしたい方法は、各学習モデルを理解しそれぞれライブラリを利用して一度動かしてみることです。

おすすめのサービスと書籍

Aidemy(アイデミー)

はい、また出てきました Aidemy(アイデミー)。別にお金はもらっていません。良いサービスだと思うから紹介しています。

Aidemy では、scikit-learn(サイキットラーン)等のライブラリを用いて容易に学習モデルを動かしてみることができます。「容易にできる」というのは1つポイントです。

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書籍でやろうとすると、コンソールの操作であったりパッケージのインストールであったりと、モデルを動かすことに付随して必要な「ベース」となる設定のようなものがいくつか必要です。初心者はそこで引っかかりがちなのですが、そうなると大抵モチベが急降下してしまいます。

その点、Aidemy のようにウェブ上で仮想コンソールを用意してくれていると、学びたいことにフォーカスできて効率がよいというわけです。

ちなみに、アメリカには、DataCamp という Aidemy の元といえるようなサービスがあります。こちらのほうが、前述のR言語もあったりとコンテンツは豊富なので、英語が分かる人はこちらを使うのもありでしょう。一旦は Aidemy でいい気もします。

www.datacamp.com

書籍『実践 機械学習システム』

書籍でいうと、こちらの本がおすすめです。機械学習の基本的なモデルについて、コード実装例と共に解説してくれている本です。

実践 機械学習システム

実践 機械学習システム

Python のコードは Github で公開されているので、解説を本で読んで、コードについては Github からコピペして自分の環境で動かしてみるという感じでいいかなと思います。

github.com

個人的には、ニュースを K-means でクラスタリングしてってあたりとかは実際に動かしてみて面白いなと思いました。なんとなくの感覚が掴めます。

仕事ではじめる機械学習

仕事ではじめる機械学習

あと、最近出たこちらの本も評判が良いので、見てみるとよいかもしれません。僕はまだ手を付けられていませんが、入門書的な立ち位置なのでこちらからやってみるのもありでしょう。

数学が分からない場合は?

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機械学習分野を勉強していると、必ずぶつかるのが「数学」の壁。

文系マン的にはキツイですよね。シグマとか偏微分とかベクトルとか行列とか、、いかがお過ごしでしょうか?

ここについては、自分としても一度きちんと時間とって勉強し直さないとなと思っているのですが、まとまった時間がとれておらず、不十分だと感じています。ただ、理解を深めるためには必要です。

一応自分が「やったこと」と「これからやろうとしていること」を書いておきます。

なるほど高校数学 ベクトルの物語―なっとくして、ほんとうに理解できる (ブルーバックス)

なるほど高校数学 ベクトルの物語―なっとくして、ほんとうに理解できる (ブルーバックス)

まず、このような漫画で分かる系の本をいくつか買って読んでみました。高校数学レベルでも概念忘れていたり、当たり前の法則を忘れていたりしたので、まずはここからと。

悪くはないのですが、これだけだと足りないので、これから手を付けようとしているのが、次の本。

Pythonからはじめる数学入門

Pythonからはじめる数学入門

これはチーム内のスーパーエンジニア氏からおすすめしてもらったものです。「Python に慣れる」と「数学を学ぶ」を並行して進められる本ということで、Python の基礎が分かっている人で数学を学びたい人にはきっとピッタリの本となるでしょう。

まとめ

久しぶりに長文のまとめ記事を書いてみました。いかがだったでしょうか?

学習法は人それぞれですが、何らかの参考になったら嬉しいです。

最後に1つ付け加えるとすると、なんだかんだ「環境」は大事です。自分はアドテクというまさに機械学習を使う業界におり、周りにはその分野に精通している人たちがいます。そして、部署内では「実践機械学習ゼミ」、チーム内では「アルゴリズム勉強会」といった学びを促進してくれる活動があったりします。

その中で、自分で学習するのと並行して、「すぐに人に聞くことができる」&「すぐに学んだことを実践することができる」というアクションを行うことができたのは、最高の環境であったように思います。

というわけで、そんな環境にも興味がありましたら、ツイッターでお声掛けください。僕もまだまだこれからなので一緒に学んでいければと思います。

↓筆者のツイッターはこちら

なぜ Siri はイケていないのか?Google Assistant と Alexa に追いつけない理由

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Mashable に面白い記事があったので紹介します。「なぜ Siri がこうもダメなのか?」という内容です。

Apple は、2010年に Siri の元となるアプリを買収し、2011年には他社に先んじて iPhone 4S に Siri を組み込むなど、音声アシスタント市場をリードしていました。

しかし、いつの間にか Google Assistant や Amazon の Alexa に後塵を拝する構造になっていると。

こちらの記事では、その原因について、様々な理由が述べられています。それぞれ説に過ぎませんが、どれも他人事ではない反面教師な事例なので、見ておく価値はありそうです。

mashable.com

以下では、その理由について、簡単に触れていきます。

アプデが年1回しかなかった

記事によると、Siri のアップデートは、iOSのメジャーアップデートに合わせて年に1回だったとのこと。これは、Google や Amazon と比較して、非常に見るからに遅い。どんどん進化していくべきはずなのに、年1回のアップデートでは良いモノはできないだろうという理由です。

これについて、元 iOS チーフのスコット氏は、「違うんだ!俺が悪いのではない。元々の Siri のチームが悪いんだ。深刻なバグばかりでそれどころじゃなかったんだ!(筆者意訳)」と反論をしています。

真実は分かりませんが、元メンバーがこのようなことを言っている時点で、チームが上手くは行っていなかったことが伺えます。ここからは想像ですが、おそらく、旧メンバーと新メンバーの間で確執があり、知識の共有も十分になされない中、非効率でストレスフルな環境になっていたのではないでしょうか。

ということで、これが想定要因の1つ目です。

買収して得た技術を導入していった

Siri では、いくつか買収を行いそこの企業が保有する技術を導入していったのですが、そこも上手くいっていなかったとのこと。

具体的には、2013年に買収した Topsy の技術を検索機能に統合したり、2015年に買収した VocallQ の技術を自然言語の機能に統合しました。

ただ、Topsy 側の人間としては、Siri のチームと働きたいとは思わなかったそうです。なぜかというと、Siri が初期のインフラから抜け出せずておらず、簡単にいうと、レガシーでイケていなかったから。

想像ですが、Topsy は技術に尖ったスタートアップで、モダンなテクノロジーを使ってイケているサービスを作っていたのでしょう。そこがいきなり、Siri という2010年の頃のコードが残っているレガシーなプロダクトの開発をしなければならなくなり、テンションが下がったという話かなと思います。

そう考えると、1点目に続いて、2点目も組織的な課題と言えそうですね。

Siri を HomePod に組み込みプランがなかった

Siri は、Amazon Echo のローンチまで、HomePod に組み込まれるプランがなかったようです。これは現場に伝わっていなかっただけの可能性もありますが、、どうなのでしょうか。

記事によると、元々 HomePod は Siri の機能はなしのスピーカーとしてリリースする予定だったようです。

もしこれが本当だとしたら、先見性という点で、Google や Amazon に負けていたとも言えるでしょう。

思ったこと

「Apple のプロダクト is 最高」と思いがちなここ日本ですが、「Siri とかイケてないわ」と言い捨てる人たちもいるのだなと新鮮でした。

1点目と2点目は、いずれも旧メンバーと新メンバーの連携という組織的な課題に根ざしている課題と捉えることができ、企業買収の闇の部分を見た気がします。

一方で、Apple、Facebook、Google などはそれこそ年に数十社というレベルで買収を繰り返しています。買収した企業の技術をどのようにすれば上手く取り込むことができるのか、どのようにすればスムーズにチームに馴染んでいけるのか、そのあたりの成功事例についても知りたいなと思いました。

任天堂 Switch版「大乱闘スマッシュブラザーズ」発表時の世界中の熱狂っぷりがスゴい

3月9日朝7時に放送された「Nintendo Direct 2018.3.9」にて、Switch 用ソフトの『大乱闘スマッシュブラザーズ』が発表されました。

その時の反応がこちら。

youtu.be

0:40 頃からが見どころです。スプラトゥーンのインクリングが後ろを振り向くと、その瞳の中にはアレが映っているのです。

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このシンボルを見て、分かる人は分かるでしょう。そう、任天堂の人気ゲーム『大乱闘スマッシュブラザーズ』のシンボルです。

この時の皆の反応、熱狂ぶりが本当にすごいのです。我を忘れて叫びまくっていますね笑。もう何と言っているのか分かりませんが、とにかく叫んでいます。

ここまで愛されるサービスというのはスゴいですね。それも日本発で世界中でこんなにも熱狂されているのを見ると、日本人として嬉しく思います。

「Apple 信者」というように、Apple の Keynote で毎回夜中に熱狂している人もいますが(僕も大体夜更かししてしまいますが)、日本にもこのように世界中の人を熱くさせるものがあるのだと再認識できました。こんな愛されるサービスを創っていきたいです。

1500人の新規事業経験者アンケートから分かった新規事業の真実 / 「『事業を創る人』の大研究」

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「事業を創る人」の大研究

「事業を創る人」の大研究

ざっくり内容

本書は、一言でいうと、企業内の新規事業についてアンケートを元に科学した本だ。

新規事業について、その戦略論については数多の本が出ているが、その現場について統計データで分析を試みた本は珍しいだろう。そもそも、そのような統計データを集めるところから行わなければならない。そこがハードルだ。

本書では、民間企業における新規事業の経験者1500人に対してアンケート調査を行ったという。このデータだけでも相当な価値があるといえよう。

データからの考察部分について、データから分かることを詳述している形なので、基本的にはデータを追っていき気になるところは文章を読むという読み方でもよいかもしれない。

以下では、特に気になった点について触れていこう。

気になった点抜粋とコメント

業績志向は新規事業の業績に影響しないのに対し、成長志向は新規事業の業績を高める影響がある

これは面白い結果。業績志向は既存事業の業績には大きく寄与するが、新規事業となると成長志向のある人のほうが業績を高めることにつながるのだという。既存事業と新規事業とでは、ゲームが異なるということなのだろう。

新規事業は、はじめて任される1度目よりも2度目以降のほうが成功確率が上がる

サイバーエージェントのミッションステートメントには「挑戦した敗者にはセカンドチャンスを。」という言葉があるが、その経済的合理性が証明されたことになる。

新規事業の業績に影響しているのは「経営層からの内省支援」と「社外の新規事業担当者からの業務支援」

新規事業責任者は得てして孤独になりやすい。そこで、新規事業経験のある経営層により内省支援や、社外で同じような立場にある人との関わりにより、メンタル的に救われるというのが大きいのかもしれない。

経営層が新規事業に対して多産多死型スタンスを持っているほど、新規事業の業績は低くなる

これはまた面白い結果。新規事業はたしかに成功する確率は少ない。しかし、多産多死を経営層が名言してしまうと、現場の士気が下がるのだろう。

そうではなく、一緒になんとかして立ち上げようという姿勢がよい、とのこと。

成果を上げた企業と成果が出なかった企業との間で最も大きな差が出ているのは「自社の強みの分析・他社研究」

企業の新規事業においては、いかに自社のアセットを用いて他社との差別化を図るかが重要なファクターとなってくる。そうなったときに、自社の分析と他社研究は必要不可欠なのだろう。

他部門からの期待が高く、新規事業を応援しようという組織風土は新規事業の業績を高めることがわかりました。一方、お金の無駄遣いだと思われ、経営からの関心も薄い組織ほど、新規事業の業績は低い傾向にある

これは「組織風土」の観点で面白い結果だった。新規事業を応援しようという組織風土は業績を高める。「育成事業」といった魅せ方にするのもよいだろうとのこと。これは納得。

まとめ

企業内の新規事業について、統計を元に科学したという面白い内容だった。今まで概念としては良いと言われていたことも、こうして数字とセットで語られるとより説得力がある。

個人としては、新規事業を任されている立場なので、当事者として活かしていきたいと思う。

企業内の経営に携わる人、新規事業に携わる人及び興味がある人にはおすすめの一冊。

「事業を創る人」の大研究

「事業を創る人」の大研究

ちなみに、こちらの本は『ペア読書』という手法で読みました。 おすすめな読書法なので、気になる方は下記記事で詳細を見てみてください。

moto.hatenadiary.com

アンスクーリング、自然通貨、伊藤穰一さんの『教養としてのテクノロジー』に学ぶこれからの世界

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教養としてのテクノロジー―AI、仮想通貨、ブロックチェーン (NHK出版新書 545)

教養としてのテクノロジー―AI、仮想通貨、ブロックチェーン (NHK出版新書 545)

ざっくり内容

この本では、テクノロジーがさらに進化した未来において、「経済」「社会」「日本」はどうなっていくのかについて、Joi こと伊藤穰一さんの視点で描かれている。

ここでいうテクノロジーとは、具体的には、人工知能(AI)、仮想通貨及びブロックチェーンのこと。人工知能の発達した社会では、労働が機会に代替されていくが、その中で僕らはどうしていくべきなのか。また、仮想通貨やブロックチェーンにより経済・社会はどう変わっていくのか。

上記のようなテーマを網羅的に扱っており、かつ平易な言葉で表現されているので、最近のテクノロジーと経済・社会との関係性についての入門書的な立ち位置ともいえるだろう。

以下では、特に気になった点について触れていく。

フューチャリストではなくナウイスト

イノベーションは、いま身の回りで起きていることに心を開き注意を払うことから始まるのだから、フューチャリスト(未来志向者)であってはいけない。今の出来事に集中するナウイスト(現在志向者)になるべきなのだ

(括弧内は筆者追記)

これからの教育について語る章では、「アンスクーリング」というアメリカでのムーブメントが紹介されている。

アンスクーリング(Unschooling)とは、日本語訳すると「非学校教育」。学校教育に頼らず、自発的な学習をその哲学とし、何を学ぶかも子ども自身が決め、答えのない世界で子どもが自分の恋有働を通して成長するスタイルだ。

通常の学校教育では、「将来のために」学校側が決めたカリキュラムを学んでいくが、アンスクーリングでは、「自分のなかに幸せを見つける」ということが基本的なアイデアであり、自らの人生の「生きがい」を考えることが大切とされる。そのため、アンスクーリングの教育を通して育った子どもたちは、必ずしも一流大学への進学率が高いかというとそうではなく、代わりに多種多様な道へと進んでいくのだという。

これは、かつて子どもの頃からコンピューターを遊びのように触っていた世代が、現在天才的プログラマとして活躍しているようなことなのだろう。

そして、これからの世界、人工知能が既存の労働をどんどん代替していく中で、「将来のために」という教育はさらに意味をなさなくなっていくのだろう。そうなったとき、このアンスクーリングの概念が提唱しているように、自分の生きがいを小さいころから見つけその道を突き詰めた人が、より活躍する、あるいは、幸せな生活を送ることができるのではないか、と考えさせられた。

仮想通貨と自然通貨という考え方

『「ブロックチェーン」は「資本主義」をどう変えるのか?』という章では、ブロックチェーンにより台頭するこれからの通貨として、「仮想通貨」と「自然通貨」が紹介されている。「仮想通貨」はご存知のとおり。「自然通貨」は、森林やマグロなど、「自然資本」に基づく通貨のことだ。

自然通貨を導入することにより、自然資本を可視化することにより、より正確かつ低コストにコントロールできるようになる。たとえば、二酸化炭素の排出量の可視化により排出権の売買が行われているようなことが、他の自然資本でも行われるようになるということだ。

これはかなり革命的なのでは、と個人的に思う。「地球」という限られた資源の中で、地球人としてどう生きていくかを考える上で鍵となる気がしているからだ。今までは、様々な条約などルールを作ったり、紳士協定的な形で環境を守ろうという動きはあったが、正直ワークしているかというと、少なくとも一般市民の自分の目からすると思えなかった。そこに対して、「自然資本」という形で可視化され、自然通貨として流動性のある公平な形でやりとりがされれば、仕組みとして良い方向に向かう気がするというわけだ。

本文中では、「ナチュラル・バランスシート」という言葉も使われていた。このように可視化することがまず第一歩。一筋縄では行かない領域な気はするが、テクノロジーにより改善されていくことに期待したい。

まとめ

いくつか特に気になったポイントについて、自分の考えも交えて紹介してみた。本文200ページ弱の新書なので、サクッと読めて勉強になる良心的な本だと思う。

ぜひ気になる方はご一読を。そして色んな方の感想を聞いてみたいです。

教養としてのテクノロジー―AI、仮想通貨、ブロックチェーン (NHK出版新書 545)

教養としてのテクノロジー―AI、仮想通貨、ブロックチェーン (NHK出版新書 545)

また、こちらの本も関連性があって一緒に読むと面白いかもしれません。 moto.hatenadiary.com

こちらの本は、『ペア読書』という読書法で読みました。 おすすめな方法なので、気になる方はこちらの記事で詳細を見てみてください。

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