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坂井豊貴教授『暗号通貨vs.国家』は、マーケットデザイン視点の暗号通貨本

慶應義塾大学の坂井豊貴教授の「暗号通貨vs.国家」を読んでみました。

マーケットデザイン観点での暗号通貨についての記述もあり、なかなかおもしろかったです。

暗号通貨VS.国家 ビットコインは終わらない (SB新書)

暗号通貨VS.国家 ビットコインは終わらない (SB新書)

坂井教授の略歴はこのような感じ。

慶應義塾大学経済学部教授。ロチェスター大学 経済学博士課程修了(Ph. D. in Economics)。『多数決を疑う』(岩波新書)、『マーケットデザイン』(ちくま新書)、『決め方の経済学』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。著書はアジアで多く翻訳されている。暗号通貨、投票システム、オークション方式などの制度設計(メカニズムデザイン)を研究。(株)デューデリ&ディールでは不動産オークション技術顧問として学知のビジネス活用に携わる。

僕も学部生時代に「公共経済学」の授業で「マーケットデザイン」は教科書として読んだ記憶があり、坂井教授の名前はなんとなく覚えていました。

マーケットデザインというのは、ゲーム理論を活用した市場のインセンティブ設計(デザイン)のことをいいます。

ビットコインに代表される暗号通貨は、特定の中央管理者を持たない代わりに、世界中のノードがネットワーク管理者となりみんなで支える仕組みとなっています。

その意味で、これは新たなマーケットデザインとも呼ぶべきものなのです。

マーケットデザインの世界では、2012年にノーベル経済学賞を受賞したアルビン・ロス氏が第一人者としてあげられます。彼は、「Who Gets What?」という書籍でも有名です。

Who Gets What (フー・ゲッツ・ホワット) ―マッチメイキングとマーケットデザインの新しい経済学

Who Gets What (フー・ゲッツ・ホワット) ―マッチメイキングとマーケットデザインの新しい経済学

そのアルビン氏は、2018年夏より「Covee Network」という暗号通貨のスタートアップにジョインしています。

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Covee Network は、知識労働者のためのマッチングプラットフォームを提供しています。

そのマーケットデザインにアルビン氏がフルコミットしているわけです。これ、なかなかすごいことですよね。

暗号通貨を成立させるためのトークンを活用したインセンティブ設計は「Tokeconomics(トークノミクス)」とも呼ばれますが、まさに「経済学のマーケットデザイン」そのものなのです。

今後、日本でも、経済学者による暗号通貨系(ブロックチェーン)系スタートアップへの参画は増えてくるかもしれません。

坂井教授がその最初の一人となるかもしれませんね。

本書は、引用などもきちんろされておりさすが学術書も書かれている方の本だと思いました。

暗号通貨系は微妙な内容の書籍もありますが、本書は入門書としてもおすすめです。

暗号通貨VS.国家 ビットコインは終わらない (SB新書)

暗号通貨VS.国家 ビットコインは終わらない (SB新書)

© 2018 Motoki Yoshida