キングダム贏政の中華統一の鍵は「法治国家」、王の権力ではなくシステムで統治する考え方
映画も公開されたということもあり、漫画『キングダム』を1巻から読み直しています。
その中で、特にグッときたシーンがありました。45巻で秦王の贏政が斉王と会談をする場面です。
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45巻では、蔡沢の計らいのもと、秦の王都咸陽に斉国の王「王建」が訪問し、贏政と宰相のみが参加を許された少人数による会談が催されました。
そもそも、斉王王建が秦まで足を運んだ理由には、蔡沢から「贏政が中華統一を目指している」という情報を聞いたことにありました。
そこで、会談でも、いきなりその話になります。
斉王は、中華統一を「汚濁」だと考えていました。なぜなら、そこには国を滅ぼされた人々の苦しみがあるからです。
亡国の民達を救済する方法があるのか?その問いを求めてやってきたわけです。
贏政は、その問いに対して、以下のように応えます。
この中華統一の成功は全中華の民を一手に実効支配するものにかかっている。
だがそれは絶対に"人"ではあってはならない!
人ではなく、何が支配するのか?
その答えは「法」にありました。
法のもとに、皆が等しく平等に扱われる新たな国家を作ろうというわけです。
時は紀元前200年代、「王」が圧倒的な支配者として立っていたわけですが、その中で「法」を第一に置くというビジョンは周囲の度肝を抜く新しい発想でした。
この答えに、斉王の王建も、そして秦の蔡沢や昌文君ですらも、驚きと感動を隠せませんでした。このシーンは本当に痺れます。
現代に話を移すと、秦王贏政、後の始皇帝は、まさに中華を1つのシステムとして捉えていたのではないかと思います。
「システム思考」という言葉があります。何かが起きたときにその原因は「人」ではなく「システム」にあり、そのシステム体系を整えることが重要であるという考え方です。
「王権制」ではシステム思考の考えは実行しにくく、持続性がありません。しかし、「法制」であれば、システムとして全てを捉えることができるため、持続的な国家を築いていけるわけです。
というわけで、キングダム45巻の贏政の「法治国家」を熱弁する一コマから、後の始皇帝の思想の素晴らしさを感じたというお話でした。
この巻は本当に震えるのでおすすめです。とはいえ、ここだけ読んでも分からないかもしれないので、最初から読むことをおすすめします。
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