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アンスクーリング、自然通貨、伊藤穰一さんの『教養としてのテクノロジー』に学ぶこれからの世界

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教養としてのテクノロジー―AI、仮想通貨、ブロックチェーン (NHK出版新書 545)

教養としてのテクノロジー―AI、仮想通貨、ブロックチェーン (NHK出版新書 545)

ざっくり内容

この本では、テクノロジーがさらに進化した未来において、「経済」「社会」「日本」はどうなっていくのかについて、Joi こと伊藤穰一さんの視点で描かれている。

ここでいうテクノロジーとは、具体的には、人工知能(AI)、仮想通貨及びブロックチェーンのこと。人工知能の発達した社会では、労働が機会に代替されていくが、その中で僕らはどうしていくべきなのか。また、仮想通貨やブロックチェーンにより経済・社会はどう変わっていくのか。

上記のようなテーマを網羅的に扱っており、かつ平易な言葉で表現されているので、最近のテクノロジーと経済・社会との関係性についての入門書的な立ち位置ともいえるだろう。

以下では、特に気になった点について触れていく。

フューチャリストではなくナウイスト

イノベーションは、いま身の回りで起きていることに心を開き注意を払うことから始まるのだから、フューチャリスト(未来志向者)であってはいけない。今の出来事に集中するナウイスト(現在志向者)になるべきなのだ

(括弧内は筆者追記)

これからの教育について語る章では、「アンスクーリング」というアメリカでのムーブメントが紹介されている。

アンスクーリング(Unschooling)とは、日本語訳すると「非学校教育」。学校教育に頼らず、自発的な学習をその哲学とし、何を学ぶかも子ども自身が決め、答えのない世界で子どもが自分の恋有働を通して成長するスタイルだ。

通常の学校教育では、「将来のために」学校側が決めたカリキュラムを学んでいくが、アンスクーリングでは、「自分のなかに幸せを見つける」ということが基本的なアイデアであり、自らの人生の「生きがい」を考えることが大切とされる。そのため、アンスクーリングの教育を通して育った子どもたちは、必ずしも一流大学への進学率が高いかというとそうではなく、代わりに多種多様な道へと進んでいくのだという。

これは、かつて子どもの頃からコンピューターを遊びのように触っていた世代が、現在天才的プログラマとして活躍しているようなことなのだろう。

そして、これからの世界、人工知能が既存の労働をどんどん代替していく中で、「将来のために」という教育はさらに意味をなさなくなっていくのだろう。そうなったとき、このアンスクーリングの概念が提唱しているように、自分の生きがいを小さいころから見つけその道を突き詰めた人が、より活躍する、あるいは、幸せな生活を送ることができるのではないか、と考えさせられた。

仮想通貨と自然通貨という考え方

『「ブロックチェーン」は「資本主義」をどう変えるのか?』という章では、ブロックチェーンにより台頭するこれからの通貨として、「仮想通貨」と「自然通貨」が紹介されている。「仮想通貨」はご存知のとおり。「自然通貨」は、森林やマグロなど、「自然資本」に基づく通貨のことだ。

自然通貨を導入することにより、自然資本を可視化することにより、より正確かつ低コストにコントロールできるようになる。たとえば、二酸化炭素の排出量の可視化により排出権の売買が行われているようなことが、他の自然資本でも行われるようになるということだ。

これはかなり革命的なのでは、と個人的に思う。「地球」という限られた資源の中で、地球人としてどう生きていくかを考える上で鍵となる気がしているからだ。今までは、様々な条約などルールを作ったり、紳士協定的な形で環境を守ろうという動きはあったが、正直ワークしているかというと、少なくとも一般市民の自分の目からすると思えなかった。そこに対して、「自然資本」という形で可視化され、自然通貨として流動性のある公平な形でやりとりがされれば、仕組みとして良い方向に向かう気がするというわけだ。

本文中では、「ナチュラル・バランスシート」という言葉も使われていた。このように可視化することがまず第一歩。一筋縄では行かない領域な気はするが、テクノロジーにより改善されていくことに期待したい。

まとめ

いくつか特に気になったポイントについて、自分の考えも交えて紹介してみた。本文200ページ弱の新書なので、サクッと読めて勉強になる良心的な本だと思う。

ぜひ気になる方はご一読を。そして色んな方の感想を聞いてみたいです。

教養としてのテクノロジー―AI、仮想通貨、ブロックチェーン (NHK出版新書 545)

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